○若狭消防組合原子力発電所等消防活動要綱
| (昭和61年5月15日本部訓令第3号) |
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(目的)
第1条 この要綱は、原子力発電所ならびに放射性物質を保有する施設(以下「関係施設」という。)における火災等に対応するため、施設関係者ならびに関係機関との密接な連携のもとに、消防活動の円滑なる遂行を図るとともに消防活動に従事する消防隊員(以下「隊員」という。)の放射性物質による汚染の防護ならびに放射線障害を防止することを目的とする。
(要綱の性格)
第2条 この要綱は、関係施設における火災等に対応するものであって、若狭消防組合警防規程(平成19年若狭消防組合消防本部訓令第1号。以下「規程」という。)ならびに若狭消防組合原子力防災計画(昭和59年若狭消防組合消防本部訓令第3号)等関連する防災規程に対立するものではない。
(用語の意義)
第3条 この要綱における用語の意義は、次の各号のとおりとする。
(1) 火災等とは、火災・救助・救急およびその他これらに類する事故をいう。
(2) 施設関係者とは、関係施設を代表して消防隊員に対して責任能力を有する者をいう。
(3) 関係機関とは、高浜原子力規制事務所および大飯原子力規制事務所、福井県、小浜市、若狭町、高浜町、おおい町、福井県小浜警察署、福井県嶺南振興局若狭健康福祉センター、小浜海上保安署、公立小浜病院、社会保険高浜病院等をいう。
(4) 管理区域とは、炉室、使用済燃料の貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設等の場所であって、その場所における外部放射線に係る線量が原子力規制委員会の定める線量を超え、空気中の放射性物質(空気または水のうちに自然に含まれているものを除く。以下同じ。)の濃度が原子力規制委員会の定める濃度を超え、または放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度が原子力規制委員会の定める密度を超えるおそれのあるものをいう。
(事前調査)
第4条 消防長は、関係施設の火災等に対応するため、あらかじめ次に掲げる事項を調査しておかなければならない。
(1) 関係施設の責任者、防火管理者、放射線管理責任者、自衛消防隊長等の氏名ならびに連絡方法
(2) 放射性物質の種類別数量および使用目的、使用場所ならびに保管場所
(3) 管理区域の放射線量の状況および汚染検査と除去能力
(4) 廃棄物貯蔵施設の位置、構造および貯蔵数量
(5) 放射線防護服および空気呼吸器等、防護資器材の数量ならびに管理状況
(6) 放射線測定器の形式台数および管理状況
(7) 消防水利と消防用設備等の状況
(8) 危険物施設の位置および類別貯蔵量とこれに対する消防用設備
(9) 自衛消防隊の組織と装備ならびに活動状況
(10) 危険時における放射性物質の移動場所ならびに汚染の拡大防止の方法および汚染水の処理方法
(消防活動の区分)
第5条 関係施設における消防活動の区分は、次のとおりとする。
(1) 火災(警戒を含む。)
(2) 救助
(3) 救急
(災害の区域の区分)
第6条 関係施設の災害の区域の区分は、次のとおりとする。
(1) 管理区域
(2) 管理区域外
(通報の受信)
第7条 関係施設より災害通報のあった場合は、前2条に定める消防活動の区分および災害の区域の区分と通報者の職氏名を正確に聴取しなければならない。
(出場)
第8条 消防活動に必要な消防小隊および救急小隊(以下「消防隊等」という。)の出場区分は規程を準用するほか、次条第1項の火災等については、現場指揮本部の構成員を同時に出場させ、現場指揮に当たらせるものとする。
(現場指揮本部の設置等)
第9条 現場指揮本部(以下「指揮本部」という。)を設置しなければならない要件は、次のとおりとする。
(1) 管理区域で発生した場合
(2) 管理区域への延焼拡大のおそれのある場合
(3) その他特に必要と認められる場合
2 先着指揮者は、管理区域での消防活動は指揮本部を設置した後でなければ行ってはならない。ただし、指揮本部設置前であっても、被ばく等のおそれがなく安全が確保された場合は、出場途上にある中隊長の許可を得て、活動を行うことができる。
3 指揮本部の位置は、別表第1に定める。ただし、状況により変更することができる。
[別表第1]
(指揮本部の編成)
第10条 指揮本部の編成は、次のとおりとする。
(1) 指揮本部の長は、消防長とする。
(2) 指揮本部は、前号および次号に掲げる者のほか、次長、消防署長、消防本部各課長その他消防長が指定した者をもって構成する。
(3) 消防長は、施設関係者を指揮本部の構成員としなければならない。
(指揮本部の業務)
第11条 指揮本部設置後の消防活動方針は、すべて指揮本部が決定するものとし、その業務はおおむね次のとおりとする。
(1) 消防活動の可否の決定
(2) 指揮本部の構成員となる施設関係者の指名
(3) 消防活動の総括指揮
(4) 管理区域への進入消防隊の指定
(5) 応援要請の可否の決定
(6) 管理区域進入消防隊の記録(様式第1号)
(7) 消防活動に必要な情報ならびに資料の収集
(8) 通信の統制と確保
(9) その他必要な事項
(消防活動に必要な機器および設備等)
第12条 管理区域で行う消防活動に必要な機器および施設等は原則として関係施設で設置してあるものを使用するものとし、消防隊の使用する品名、数量等は別表第2のとおりとする。
[別表第2]
(被ばく線量の限度等)
第13条 管理区域における消防隊員が受ける実効線量の限度は、次の各号のとおりとする。
(1) 通常の消防活動 一回の限度10ミリシーベルト、1年間の限度50ミリシーベルト、5年間の限度100ミリシーベルト
(2) 人命救助等緊急時やむを得ない消防活動 1回の活動における限度100ミリシーベルト/回
2 管理区域における消防隊員が1年間に受ける等価線量の限度は、次の各号のとおりとする。
(1) 通常の消防活動 眼の水晶体150ミリシーベルト、眼の水晶体以外500ミリシーベルト
(2) 人命救助等緊急時やむを得ない消防活動 眼の水晶体300ミリシーベルト、眼の水晶体以外1,000ミリシーベルト
3 消防長は、管理区域での消防隊員の安全を確保するため、現場活動に放射線管理要員の同行を関係施設に求めなければならない。
(放射線防護対策)
第13条の2 管理区域において消防隊員の汚染および被ばく対策は、次の各号のとおりとする。
(1) 立合い 施設関係者の立合いがなければ、管理区域での消防活動に従事してはならないこと。
(2) 消防活動 放射線測定器具および放射線防護に必要な装備を完全に装着すること。
(3) 立入りまたは退出 関係施設の定めるところにより、人員の確認および汚染の検査を受けること。
(4) 汚染および被ばく処置 許容線量を超えて被ばくまたは汚染した疑いのある隊員は関係施設の定める方法により、医師の処置または除染処置を受けること。
(5) 被ばくの記録 管理区域で消防活動に従事した隊員が受けた線量、その他必要な事項について、個人被ばく線量測定記録書(様式第2号)に記録し保存すること。
(消防活動上の留意点)
第14条 関係施設で消防活動を行う場合、次のことに留意しなければならない。
(1) 車両を駐停車する場合原則として風上に位置すること。
(2) 消防車両の積載器具の覆いは確実にすること。
(3) 隊員を放射線から防護することを第1とし、許容線量を越えて消防活動を行うことのないよう最大限の配慮をすること。
(4) 指揮位置は、努めて風上で高所で便利な位置とすること。
(5) 身体に切傷等のある隊員は消防活動に従事させてはならない。
(6) 消防活動は、常に2人1組とし最少の人員と最少の時間をもって行わなければならない。
(7) 常に指揮本部と連絡を密にし、自己の判断だけで行動しないこと。
(8) 進入は、風上から地形、地物を高度に利用して行うこと。
(9) 注水は、噴霧注水を原則とし、必要最小限に止めること。
(10) 関係施設周辺の火災は、関係施設への延焼防止を最優先させなければならない。
(11) 窓等の破壊は、汚染のおそれがないと認められる場合のほか、努めて避けること。
(12) 延焼危険が無くなったときは、速やかに隊員を安全区域に退出させなければならない。
(13) 消防活動に従事しない消防隊は、早期に引きあげさせること。
(14) 放射性物質により汚染した者の救急活動は、除染等必要な措置を施した後でなければ行ってはならない。
(15) 残火整理は、施設関係者と協議のもとに短時間で行うこと。
(16) 現場保存に留意し、物品に直接手を触れないこと。
(17) 切傷、擦過傷を受けた隊員は、速やかに報告すること。
(18) 管理区域およびその附近での喫煙、飲食はしないこと。
(指揮本部の解散)
第15条 消防長は、関係施設における消防活動が終了した時または状況により必要のないことを認めた時は指揮本部を解散する。
(訓練の実施)
第16条 消防長は、関係施設において随時関係施設との合同火災防ぎょ訓練等を行うほか、関係施設より貸与される資器材の取扱に習熟するための訓練を行うものとする。
附 則
この要綱は、公布の日から施行する。
附 則(平成7年2月1日本部訓令第7号)
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この要綱は、公布の日から施行する。
附 則(平成17年3月29日本部訓令第6号)
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この要綱は、平成17年3月31日から施行する。
附 則(平成18年2月28日本部訓令第5号)
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この要綱は、平成18年3月3日から施行する。
附 則(平成19年3月14日本部訓令第1号)抄
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(施行期日)
1 この規程は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成23年5月18日本部訓令第2号)
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この要綱は、公布の日から施行する。
附 則(平成31年3月28日本部訓令第2号)
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この訓令は、平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和2年9月23日本部訓令第13号)
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この訓令は、公布の日から施行する。
別表第1(第9条関係)
現場指揮本部の位置
| 若狭消防組合原子力発電所等消防活動要綱第9条第3項に定める現場指揮本部の位置は次のとおりとする。 |
| 高浜発電所 |
| 第5会議室 |
| 大飯発電所 |
| 第5会議室 |
別表第2(第12条関係)
原電災害用装備品保有数(企業管理)
高浜発電所
| 品名\項目 | 公設消防隊用必要数量 | 公設消防隊用確保数量 | 発電所全体保有数量 |
| 表面汚染測定器 | 1 | 1 | 13 |
| 空間線量測定器 | 2 | 2 | 38 |
| 警報付デジタル線量計(ADD) | 25 | 25 | 1,300 |
| 空気呼吸器 | 25 | 25 | 76 |
| 防塵マスク | 50 | 50 | 600 |
| 放射線防護服(一般作業用) | 50 | 50 | 4,000 |
大飯発電所
| 公設消防隊用必要数量 | 公設消防隊用確保数量 | 発電所全体保有数量 |
| 1 | 1 | 77 |
| 2 | 2 | 168 |
| 25 | 25 | 1,800 |
| 25 | 25 | 85 |
| 50 | 50 | 3,300 |
| 50 | 50 | 9,700 |
