○若狭消防組合火災調査規程
| (平成21年3月11日本部訓令第2号) |
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第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)の実施について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因および火災により受けた損害を明らかにして、火災予防および警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(用語の定義等)
第3条 この規程における用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、もしくは拡大し、または放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設またはこれと同程度の効果があるものの利用を必要とするもの、または人の意図に反して発生し、もしくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による爆発の1つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴、火炎および破壊作用を伴う現象をいう。
(3) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。
(4) 関係者 法第2条第4項に規定する関係者をいう。
(5) 発火源 出火に直接関係し、またはそれ自体から出火したものをいう。
(6) 経過 出火に関係した現象、状態または行為をいう。
(7) 着火物 発火源によって最初に着火したものをいう。
(8) 出火箇所 火災の発生した箇所をいう。
(9) 関係者等 関係者ならびに火災の発見者、通報者、初期消火者およびその他調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。
(10) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根および柱もしくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物または地下もしくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設をいい、貯蔵槽その他これに類する施設を除く。
(11) 収容物 原則として柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物をいう。
(12) 森林 木竹が集団して生育している土地およびその土地の上にある立木竹と、これらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地をいい、主として農地または住宅地もしくはこれに準ずる土地として使用される土地およびこれらの上にある立木竹を除く。
(13) 牧野 主として家畜の放牧または家畜の飼料もしくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(14) 自動車車両 鉄道車両以外の車両で、原動機によって運行することができる車両をいう。
(15) 鉄道車両 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両またはこれに類する車両をいう。
(16) 被けん引車 車両によってけん引される目的で作られた車または車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。
(17) 船舶 独立機能を有する帆船、汽船および端舟ならびに独立機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(18) 航空機 人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。
(19) 管轄区域 若狭消防組合消防本部および消防署の設置等に関する条例(昭和45年若狭消防組合条例第4号)第3条第2項に規定する管轄区域をいう。
(20) 担当区域 分署の担当区域は、若狭消防組合若狭消防署組織および職務規程(昭和45年若狭消防組合消防本部訓令第2号)第9条第2項に規定する担当区域をいい、若狭消防署の担当区域は、分署の担当区域以外の管轄区域をいう。
(21) 製造物 製造物責任法(平成6年法律第85号)第2条第1項に規定する製造または加工された動産をいう。
(22) 主管課 若狭消防組合消防本部組織および職務規則(昭和45年若狭消防組合規則第3号)第4条に規定する当該事務分掌を行う消防本部の課をいう。
(23) 少年 18歳に満たない者をいう。
(24) 鑑識 火災の原因および損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験および機器を活用し、総合的見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。
(25) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質およびこれに関連する現象について、科学技術的手法により、必要な試験および実験を行い、その結果をもとに火災原因の判定のために資料を得ることをいう。
2 前項各号に定める用語以外の用語の意義および調査または調査結果の報告上必要な事項については、火災報告取扱要領(平成6年4月21日付消防災第100号)の定めるところによる。
第2章 調査業務体制
第1節 調査の基本
(調査の基本)
第4条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち、事実の立証に努めなければならない。
(調査員の心構え)
第5条 調査員は、火災現象、関係法令その他調査に必要な知識の習得および調査技術の向上に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他人に漏らさないこと。
(3) 関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立合いを求めること。
(4) 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡をとり、相互に協力して調査を進めること。
(調査の区分および範囲)
第6条 調査の区分は、火災原因調査および火災損害調査とし、その範囲は次に掲げるとおりとする。
(1) 火災原因調査
ア 出火原因 火災の発生経過および出火箇所
イ 発見、通報および初期消火状況 発見の動機、通報および初期消火の一連の行動経過
ウ 延焼状況 火災の延焼経路、延焼拡大要因等
エ 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等
(2) 火災損害調査
ア 人的被害の状況 火災による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的被害の状況およびその発生状況
イ 物的損害の状況 火災による焼き、消火、爆発等による物的な損害の状況
ウ 損害額の評価 火災により受けた物的な損害の評価
第2節 火災の基準
(火災件数)
第7条 1件の火災とは、一つの出火点から拡大したもので、出火から鎮火までをいう。
2 一つの火災の鎮火後に飛び火により発生したときは、当該火災は別件の火災とする。
3 一つの消防対象物で、出火点が2箇所以上ある火災のうち次に掲げるものは、1件の火災として取り扱うものとする。
(1) 同一人または共謀して2人以上の者が行った連続行為による放火または火遊びによる火災
(2) 同一の漏電による同時出火火災
(3) 地震、落雷等による同時出火火災
(火災種別)
第8条 火災の種別は6種とし、その内容は次に掲げるとおりとする。
(1) 建物火災 建物またはその収容物が焼損した火災
(2) 林野火災 森林、原野または牧野が焼損した火災
(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両および被けん引車またはこれらの積載物が焼損した火災
(4) 船舶火災 船舶またはその積載物が焼損した火災
(5) 航空機火災 航空機またはその積載物が焼損した火災
(6) その他火災 前各号に掲げる火災以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)
2 前項各号の火災が複合する場合の火災の種別は、焼き損害額の大なるものによる。ただし、その様態により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認める場合は、この限りでない。
3 前項の焼き損害額が同額または算出されない場合は、火元の火災の種別によるものとする。
4 爆発損害のみの火災の種別は、前3項に準ずるものとする。
第3節 調査体制
(調査の責任)
第9条 消防長は、管轄区域内の火災調査の責任を有し、調査の主体は、消防署長(以下「署長」という。)とする。
2 消防長は、署長に対し調査実施上必要な指示を与えるものとする。
(調査の実施)
第10条 署長は、火災を覚知したときは、当該火災の担当区域の所属の長(以下「所属長」という。)を指揮して直ちに調査に着手しなければならない。
(調査体制の充実)
第11条 消防長および署長は、調査に必要な資材を整備し調査能力の向上に努める等、調査体制の充実に努めなければならない。
(類以火災への対応)
第12条 署長は、調査結果から製造物の欠陥による類以火災の発生が予測されるなど必要と認めるときは、当該火災に係わる資料の収集に努めなければならない。
(調査員の派遣)
第13条 消防長は、特に必要があると認める場合は、消防本部職員を調査員として派遣することができる。
2 署長は、特に必要があると認める場合は、担当区域外の職員を調査員として派遣することができる。
(火災調査本部の設置)
第14条 消防長は、火災の規模が次の各号のいずれかに該当し、必要と認めた場合は、火災調査本部(以下「調査本部」という。)を設置するものとする。
(1) 死者3名以上を生じた火災
(2) 負傷者5名以上を生じた火災
(3) 原子力発電所における管理区域の火災
(4) 建物の焼損面積の合計が1,000平方メートル以上の火災
(5) 火災損害額が1億円を超えると認められる火災
(6) 消防庁長官に対して調査を要請した火災
(7) 消防長が必要と認める火災
(調査本部の編成および指揮等)
第15条 調査本部の編成は、次のとおりとする。
| 調査本部長 | 消防長 |
| 調査副本部長 | 署長、主管課長 |
| 調査本部員 | 主管課員、消防長が指名する消防本部職員 |
| 当該火災の担当区域の職員 | |
| 署長が指名する当該火災の担当区域以外の職員 |
2 調査本部を設置した場合は、調査の指揮および統括等の業務は、調査本部長が行うものとする。
(調査本部の解散)
第16条 調査本部の解散は、調査終了後調査本部長がこれを行うものとする。ただし、調査の経緯を考慮し、必要がないと認める場合は、調査終了前であってもこれを解散することができる。
(継続調査の実施)
第17条 署長は、前条ただし書の規定により調査本部を解散した場合であっても、調査を継続して行わなければならない。
(調査の要請)
第18条 消防長は、調査上特に専門的技術または知識を必要とする場合は、法第35条の3の2第1項の規定に基づき、消防庁長官に対し火災原因調査要請書(様式第1号)により、火災原因調査を要請するものとする。
2 消防長または署長は、調査上特に必要と認める場合は、出火に関係した製造業者等関係のある者の派遣を要請することができる。
(消防庁長官の火災原因調査に伴う連携)
第19条 消防長は、法第35条の3の2第1項の規定に基づく消防庁長官の火災原因調査の実施についての通知があった場合は、速やかに次の各号に掲げる事項について対処するものとする。ただし、第2号の通知について文章で通知するいとまのないときは、電話により連絡し、その後速やかに文章により通知するものとする。
(1) 調査本部の設置
(2) 福井県警察本部への通知(様式第2号)
(3) 消防庁長官および警察機関との調査の実施にかかる調整
第3章 調査業務執行
第1節 火災出場時の調査等
(火災出場時の見分状況把握)
第20条 火災に出場した消防職員は、消火活動中における火炎の色、臭い、燃焼音および避難経路、施錠の有無、消防用設備等の使用、作動状況の見分に努めるとともに、関係者の言動その他必要事項を把握しなければならない。
2 火災に出場した先着隊の長は、前項の規定により把握した事項について、火災出場時における見分調書(様式第3号)により報告しなければならない。
(防ぎょ中の現場保存)
第21条 火災防ぎょ活動中の全ての消防職員は、出火場所付近の迅速な消火を心がけるとともに、出火前の状態が推測できるよう現場の保存に努めなければならない。
2 防ぎょ活動のため、やむを得ず出火場所付近の物件を移動し、または破壊しようとするときは、原状がわかるよう必要な処置をとらなければならない。
(死者が生じている場合の取扱い)
第22条 署長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
第2節 現場調査
(実況見分)
第23条 調査員は、火災現場その他関係のある場所および物件について、詳細な実況見分を行い、火災原因調査資料の発見入手に努めなければならない。
2 前項の実況見分にあたっては、関係者を現場立会人として実施しなければならない。ただし、特別な事情により関係者が不在でやむを得ない場合は、警察官または関係者の近親者その他適当な者を立会人とすることができる。
(実況見分調書)
第24条 調査員は、前条の規定により実況見分を行ったときは、実況見分調書(様式第4号)にその経過を記録しておかなければならない。
2 実況見分調書には、その内容を明らかにするための図面を作成・添付し、写真(デジダル写真を含む。以下同じ。)による記録を行い、写真添付書(様式第5号)に添付しなければならない。
3 前項の図面の種別は次のとおりとし、必要に応じて作成しなければならない。
(1) 平面図
(2) 復元図
(3) 付近見取図および防ぎょ図
(4) 配置図または位置図
(5) その他必要と認められる図面
第3節 質問
(質問)
第25条 調査員は、関係者等に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
2 前項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認める内容については、質問調書(様式第6号)にその内容を記録しなければならない。この場合において、記録した内容を当該関係者に読み聞かせる等を行い、記載事項に誤りがないことを確認し、質問調書に当該関係者等の署名を求めるものとする。
3 前項の規定は、通訳人の介助を得て質問を行った場合について準用する。この場合において、同項後段中「当該関係者等に読み聞かせる」を「当該通訳人に閲覧させ、および当該関係者等に読み聞かせる」に「当該関係者等の署名」を「当該通訳人および当該関係者等の署名」と読み替えるものとする。
4 調査員は、関係者等への質問を行うにあたっては、重複を避け効率的な調査を行わなければならない。
(署名の拒否等)
第26条 前条の関係者等が署名することができないときまたは署名を拒否したときは、調査員がその旨を記載しておかなければならない。
第4節 資料の収集
(官公署への照会)
第27条 署長は、法第32条第2項の規定に基づき関係のある官公署に対し調査に関する事項を照会する場合は、火災関係事項照会書(様式第7号)により行うものとする。
(関係資料の収集)
第28条 調査員は、火災の状況を観察し、火災調査上必要な情報および資料を収集しなければならない。
(資料の提出)
第29条 調査員は、現場において立証のための調査が必要であると認める場合は、関係者に資料の任意提出を求めることができる。
2 署長は、前項の規定によっては資料の確保が困難と思われる場合は、法第34条第1項の規定に基づき関係者等に対し、資料提出命令書(様式第8号)による資料の提出を命ずるものとする。
(所有権の確認)
第30条 前条の規定により資料の提出を依頼または命じた場合は、調査資料提出書(様式第9号)の提出も求め、所有権放棄の有無を確認しておかなければならない。ただし、特に必要がないと認められる場合は、調査資料提出書によらないことができる。
2 署長は、前項の規定に基づき調査資料提出書により資料の提出を受けた場合は、調査資料受領書(様式第10号)を関係者に交付するものとする。また、調査終了後に資料を返却する場合は、返却資料受領書(様式第11号)と引換えにこれを行うものとする。
(資料の保管)
第31条 署長は、資料を保管する場合は、資料保管台帳(様式第12号)に必要事項を記載し、資料の証拠価値をき損しないよう細心の注意を払い、保管票(様式第13号)を付して慎重に保管しなければならない。
(鑑識)
第32条 調査員は、提出された物件等について鑑識を行ったときは、その結果を鑑識結果書(様式第14号)に記載しておかなければならない。
(鑑識依頼)
第33条 署長は、収集した物件等について火災原因判定上必要があると認める場合は、鑑識依頼書(様式第15号)により関係機関または学識経験者に鑑定を依頼することができる。
第5節 原因の判定
(原因の判定)
第34条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の資料等を総合的に検討して判定するものとし、物的調査および人的調査による資料により裏付けるものとする。
(原因判定書等)
第35条 調査員は、前条の規定により火災の原因を判定したときは、火災原因判定書(様式第16号)を作成しなければならない。
2 火災原因判定書には、判定した出火原因ならびに火災拡大および死傷者発生の理由ほか、判定に至った経過を系統的に記載しなければならない。
(原因判定の区分)
第36条 出火原因の判定基準は、次に定めるとおりとする。
(1) 判定 各資料の証明力を総合することにより、具体的かつ科学的にその原因が決定されるもの
(2) 推定 判定するには至らないが、当該資料を基礎として専門的な立場から合理的にその原因が推測されるもの
(3) 不明 各資料の証明力が極めて弱く、これに多少の推理を加えてもその原因を合理的に推測することが困難なもの
(火災原因分類)
第37条 火災原因は、発火源、経過および着火物をもってその原因とし、その分類は、火災報告取扱要領別表第3出火原因分類表によるものとする。
第6節 火災損害調査
(損害の調査)
第38条 調査員は、現場において関係者等から説明を得て、火災および消火によって受けた生命、身体および財産の損害について、調査しなければならない。
(損害の区分)
第39条 火災の損害は3種とし、その内容は次に掲げるとおりとする。
(1) 焼き損害 火災によって焼けた物、熱によって炭化し、溶融し、または破損した物等の損害
(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害
(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用によって受けた破損等の損害
(焼損の程度)
第40条 建物の焼損程度は、1棟ごとに4種に区分し、その内容は次に掲げるとおりとする。
(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの、またはこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないもの
(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので、全焼に該当しないもの
(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のもので、ぼやに該当しないもの
(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損床面積が1平方メートル未満のもの、建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満であり焼損表面積が1平方メートル未満のもの、または収容物のみ焼損したもの
(焼損床面積等の算定)
第41条 建物の焼損面積は、次に掲げる焼損床面積および焼損表面積に区分して算定するものとする。
(1) 焼損床面積 建物の焼損が立体的に及んだ場合で、焼損したことによって機能が失われた部分の床面積
(2) 焼損表面積 建物の損害が内壁、天井、床板等部分的なもので立体的に焼損が及ばなかった部分の表面積
2 前項の規定は、水損、破損および汚損について準用する。
(世帯の算定)
第42条 世帯は、住居および家計を共にする者または1人で居住を有し家計を維持する者ごとに1世帯とする。ただし、共同住宅の共有部分のみり災した場合には、り災世帯を計上しない。
2 寄宿舎その他これと類する施設に常時宿泊する者については、当該施設に宿泊する全ての者の集まりを1世帯とする。
(世帯のり災程度)
第43条 世帯のり災程度は、1世帯ごとに3種に区分し、その内容は次に掲げるとおりとする。
(1) 全損 建物(その内容物を含む。以下この条において同じ。)の火災損害額がり災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの
(2) 半損 建物の火災損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上で全損に該当しないもの
(3) 小損 建物の火災損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント未満のもの
(死傷者)
第44条 火災による死傷者とは、火災および消火活動、避難行動その他の行動により火災現場において火災に直接起因して死亡し、または負傷した者をいう。
2 火災による負傷者が受傷後48時間以内に死亡した場合は、火災による死者とする。
3 火災による負傷者のうち、48時間を経過して30日以内に死亡した者については、火災による30日死者とする。
(負傷程度)
第45条 負傷の程度は3種とし、その内容は次に掲げるとおりとする。
(1) 重症 傷病の程度が3週間の入院加療を必要とするもの以上のもの
(2) 中等症 傷病の程度が重症または軽症以外のもの
(3) 軽症 傷病の程度が入院加療を必要としないもの
(り災申告等)
第46条 り災した物件の関係者から火災損害調査の資料の提出を求める場合は、次に掲げるり災申告書によるものとする。
(1) 火災損害申告書(不動産・動産用)(様式第17号)
(2) 火災損害申告書(動産用)(様式第18号)
(3) 火災損害申告書(車両・船・航空機)(様式第19号)
(4) 火災損害申告書(林野・その他)(様式第20号)
(5) り災物件明細申告書(様式第21号)
(火災原因損害調査書の作成)
第47条 調査員は、第10条の規定により火災の調査を行ったときは、火災原因損害調査書(様式第22号)を作成し、り災内容に応じて次に掲げる書類を添付しなければならない。
[第10条]
(1) 損害査定書1(木造建物で経過年数および建築時単価が判明している場合)(様式第23号)
(2) 損害査定書2(木造建物で建築時単価が不明の場合)(様式第24号)
(3) 損害査定書3(木造建物で経過年数および建築時単価が不明の場合)(様式第25号)
(4) 損害査定書4(耐火建物)(様式第26号)
(5) 損害査定書5(耐火建物で部分別焼損が認められる場合)(様式第27号)
(6) 損害査定書6(動産・林野・車両・船舶・その他)(様式第28号)
(7) 損害査定書7(建築後に増改築した場合)(様式第29号)
(8) 死者の調査書(様式第30号)
(9) 負傷者の調査書(様式第31号)
(り災証明書の交付等)
第48条 署長は、火災による動産または不動産(消防活動による水損および損壊を含む。)で確認した事実について証明することができる。
2 り災証明を受けようとする者は、り災証明交付願(様式第32号)により願い出るものとする。
3 署長は、前項の交付願を受理したときは、り災証明書(様式第33号)を交付するものとする。
第7節 少年等に関する特例
(少年等の質問)
第48条の2 少年ならびに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者および精神保健法(昭和25年法律第123号)第3条に規定する精神疾患者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、第25条に規定する質問を行う場合には、立会人をおいて行うものとする。ただし、立会人をおくことで、真実の供述が得られないと判断される場合は、この限りでない。
[第25条]
2 前項の質問を行うにあたっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもってあたらなければならない。
3 少年等に対し、立会人をおいて質問を行った場合は、立会人に署名を求めるものとする。
(少年等の立会い)
第48条の3 少年等は、実況見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情その他諸般の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。
第4章 火災調査書類の作成
(調査書類の作成)
第49条 所属長は、火災調査を終了したときは、次に掲げる書類(以下「火災原因等調査書類」という。)を作成し、署長に報告しなければならない。
(1) 火災調査書(様式第34号)
(2) 書類目録(様式第35号)
(3) 火災原因判定書(様式第16号)
(4) 実況見分調書(様式第4号)
(5) 写真添付書(様式第5号)
(6) 火災出場時における見分調書(様式第3号)
(7) 質問調書(様式第6号)
(8) 火災原因損害調査書(様式第22号)
(9) 関係図面(第24条第3項に規定する図面)
(10) その他必要な書類(関係者からの提出書類および参考資料等を含む。)
2 火災の程度が軽易なもので、消防行政上支障がないと認める場合は、別表第1に定める火災原因等調査書類の一部を省略(署長が特に必要と認めた火災は除く。)することができる。
[別表第1]
第5章 報告通報等
(報告)
第50条 署長は、第49条第1項の規定により作成した火災調査書類を火災覚知の日から起算して60日以内に消防長に報告しなければならない。
[第49条第1項]
(火災詳報)
第51条 消防長は、消防庁長官から火災について報告を求められた場合は、火災取扱報告要領に基づき火災詳報を作成し報告しなければならない。
(火災即報)
第52条 消防長は、火災等即報基準に該当する火災の場合は、火災・災害等報告要領(昭和59年消防災第267号)に基づき火災即報を作成し、消防庁長官および福井県知事に報告しなければならない。
第6章 雑則
(調査書類の整理および保存)
第53条 この規程により作成した調査書類の原本は、若狭消防署において整理保存しなければならない。
(照会の対応)
第54条 署長は、火災原因その他の調査事項について照会があったときは、その内容、目的、その他必要な理由について審査し、必要事項について回答することができる。
2 署長は、前項の規定により回答したときは、照会書等の写しを添えて消防長に報告しなければならない。
(その他)
第55条 この規程の施行に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
この規程は、平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成21年3月27日本部訓令第6号)
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この規程は、平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成27年8月10日本部訓令第1号)
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この訓令は、公布の日から施行する。
附 則(平成28年5月26日本部訓令第7号)
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この訓令は、平成28年6月1日から施行する。
附 則(平成30年5月10日本部訓令第6号)
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この訓令は、公布の日から施行する。
附 則(令和2年9月18日本部訓令第11号)
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この訓令は、公布の日から施行する。
別表第1(第49条関係)
火災原因等調査書類
| 建物火災 | 車両火災 | 船舶火災 | 航空機火災 | 林野火災 | その他火災 | |||||||
| 全焼 | 半焼 | 部分焼 | ぼや | |||||||||
| 死傷者有 | 死傷者無 | 死傷者有 | 死傷者無 | |||||||||
| 火災調査書 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
| 実況見分調書 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 火災原因判定書 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
| 火災出場時の見分調書 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 質問調書 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 火災損害調査書 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 写真 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
| 関係図面 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 記号説明 | 1 ◎印は、省略することができない。ただし、復元図については写真により、り災前の状況が明らかであれば省略できる。 | |||||||||||
| 2 ○印は、規模、態様により省略することができる。ただし、実況見分調書は、出火箇所または出火原因を判定するうえで必要な場合は省略できない。 | ||||||||||||
